猫についての思い出2 | karakara

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ペットねこ

一期一会

一期一会という言葉がありますが、私にもそのような出会いがありました。勿論猫なんですけどね。
犬派、猫派どころか、動物を飼うことにすら関心がなくなった私を、猫派に変えてくれました。

二十年ほど前

高校生となり最初の冬休み、終業式を終え帰宅中の事でした。
駅を降り、いつもの帰り道に出た私は「少し帰り道を変えよう」そう思い道を曲がり住宅街の中に入っていきました。
というのも、冬休みに入り引っ越しで町を離れることが決まっていたので、「最後だしなぁ」と感傷的な気分で遠回りをすることに決めたのでした。
携帯電話が普及する前の話、中学時代の友人とは疎遠になっていたので、誰かしら合わないだろうか、そんなことを考えながらの帰路です。


結局誰とも会わないまま、住宅街中ごろにある公園に差し掛かかったころ、
「にゃーん」
と猫の鳴き声がし、振り返ると子猫がヨチヨチこちらへ歩いてきていました。
その当時の私は猫に興味も関心もなく、「みすぼらしい猫だなぁ」とか「面倒だなぁ」というのが正直な感想で、飼うなど思いつきもしませんでした。
「おやまぁ」
不意に、どこから現れたのか近所の小母さんと思しき人物が子猫を抱き上げ
「あら、良い毛並み、良い猫よ。持ってお帰り」(というふうなことを言って)
私に押し付けて去っていきました。
私はというと(…いや、毛並みが良いとはお世辞にも言えないし、基本は黒の毛だがまばらで白が混じり恐らく雑種、そもそも、良い猫なら小母さんが持って帰ればよいのでは?)と押し付けられたことに腹が立ち、却って置き去りにすることに決めました。


公園のベンチに子猫を下ろして、「ごめんね」と一言伝えて全力疾走。住宅街を抜け、区を分ける橋で振り返り、子猫がついてきていないことを確認し、橋を渡って家に帰りました。

その夜

その日の夜。夜勤でありながら翌日引越しをするという父を見送り、妹と「大丈夫なのかねぇ」などと言いながら引越しの仕上げを行っていました。
夜も更け、さぁ寝ようかという時、何か声がすると妹が言ってきます。勘の悪い私は、玄関を出てようやく猫の鳴き声に気が付きました。
家を隔てるブロック塀の向こう側、みすぼらしい子猫が蹲って鳴いていました。

結局拾いました

今ではもう天寿を全うしたその猫は、私の価値観を変えてくれました。
猫ってかわいいですね。

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